先日、人生初の出雲大社にお参りをしてきた。
出雲大社と言えば日本でも有名なお社だけあって、名前だけは聞いた事があるし、何より……
巨大なしめ縄
などが一時期凄く有名になったのを覚えている。こう、しめ縄の下から縄に賽銭を投げる奴。
子供の時にその光景をニュースなどで見ていたのだが、子供心には純粋に「楽しそう!」くらいに見ていたのだ。
一度はやってみたかったと言うのが本音。
さて、そんなしめ縄を見るのも理由に参拝してきたわけだが、さてはて、本殿に行ってみるとちょっと期待外れというか「あれ?」と思う光景が待っていた。
今回はこの出雲大社のしめ縄について。はじめてだと勘違いしてしまう事や、しめ縄の場所などの疑問について答えていきたいと思う。
「その場所は本殿!」ってなんだか小さくない?
しめ縄を見て来た!
と言う事で、まずは私の感想から入っていこう。
今回出雲大社へお参りするにあたり、やはりしめ縄のある本殿へと足を運んだ。
道中「因幡の白兎」がたくさん並んでいて、可愛いウサギたちにに見守られながら最後の鳥居をくぐり、遂に本殿へと辿り着いたのだ。
松の並ぶ参道から、巨大な本殿は見事なものだった。
と、ちょっと歴史に浸りたい気もしたが、近くでは観光ガイドの案内であったり、改修されているらしい正面の建物は近代的で、まあ、良くも悪くも観光地だなぁと思わされたのだが、はてさて。
そこで目に飛び込んできた、巨大なしめ縄。
「おお!これがそれか。」
と思って近づいたのだが、うむ。見て最初に思ったのは……
「あれ? なんかこれ、ちっちゃくない?」
という感想だったのだ。
本殿のしめ縄について
本殿にあるしめ縄。本殿というよりも拝殿というべきなのだろう。これについて少し調べて見た。
後述するが、実は巨大なしめ縄は別の場所にあり、この拝殿・本殿にある「しめ縄」が、むしろ出雲大社の正式な「しめ縄」だと言えるのである。
しめ縄についてはまた詳しく後で説明したいのだが、しめ縄の簡単な役割は……
「悪い物が入らないように結界の役割を持つ」
と言う事である。
つまり本来は、こちらのしめ縄がこの出雲大社へ悪い物が入らないように役割を持っているわけで、本来通りのしめ縄としての機能を果たしているのは、こちらのしめ縄。
では、件の巨大しめ縄はどうだろう。
すでに普通のしめ縄があるのに何故、巨大なしめ縄が必要だったのか? そもそも本殿側にないなら何処にあるのか。
それを説明する前に、一旦動画の紹介をしたいと思う。これが出雲の巨大しめ縄だ。それが何処にあるのか、今から説明していこう。
▼出雲大社 大しめ縄
こっちか! 巨大しめ縄はここにあり!
巨大しめ縄があるのは神楽殿
噂の巨大しめ縄だが、これがあるのは実は本殿ではなく神楽殿になるのだ。
神楽殿の場所は本殿から左手に進んだ先。歩いて5分掛かるか掛からないか程度の場所にあるので、少し探して貰いたい。
と言っても建物も現物も巨大なので、すぐ見つけられるだろう。
この巨大なしめ縄だが、実は大昔からあるのではなく、昭和56年に神楽殿が造られてから存在しているらしい。なので、結構若いのだ。
また数年ごとに付け替えられているそうで、1年かけて作った巨大なしめ縄を、既に5回も付け直しているそうだぞ。
しかしこの有名なしめ縄。私も確かに、子どもの頃にはちょっと憧れたが、非常に困った事態を呼ぶ事になる。そう……
観光客がしめ縄に向かって、賽銭を投げ始めてしまったのだ!!
賽銭投げは危ないので禁止です
実際にしめ縄を見て、まず最初に気付いた事がある。というのが、今現在この巨大しめ縄、ネットで保護されているのだ。
理由は簡単で、観光客が賽銭を投げつけないようにする為だ。
それでもネットの内側にはいくつもの賽銭が投げられていて、もしかしたら、つい最近こういう措置が取られたのかな? とも推測できる。
ここは観光する前に肝に銘じなければならないのだが、巨大しめ縄に賽銭を投げるのは禁止されている。
まあ、考えてみれば当然であった。
そもそも、しめ縄というのは神聖な物だ。先に述べた通り、悪い物が入らないように聖域を守る役割を持っているのが、しめ縄だ。
それに賽銭を投げつけるなんて、とんでもない罰当たりで実際かなり怒られていたらしい。
「ニュースなどを見ていると皆やっているしな……。」と思ったりもしていたけど、もっと冷静に考えると、投げつけた賽銭が落ちてこないはずがないのだ。
そう、観光客の頭上に重くなった賽銭が落ちてくる。怪我にも繋がる。
危ないし、罰当たり。
この二つがあれば禁止される理由は明確である。
今はネットが張ってあるので大丈夫だろうが、例え無くなっていたとしても、賽銭を投げつけないように気を付けなければならない。
どうしてこっちが大きいの?そもそもしめ縄って?
しめ縄について改めてまとめよう
まずはしめ縄について、ここまでのおさらいをしておこう。
しめ縄というのは、聖域である神社に悪い物が入ってこないように守るための結界の役割がある。と言う事。
人の住む世界と神様の住む世界を分けるモノらしく、これがあるから、神社は神聖なままで在るのだという。
また、しめ縄の大きさというのは、そのまま力の強さに直結するそうだ。細いしめ縄ではそれだけの力しか発揮しないが、大きなものはより凶悪なモノの進入も拒むとされている。
そうやって考えてみると、ちょっとした疑問が出て来る。その疑問とは……
本殿には普通よりやや大きいくらいのしめ縄があるだけで、日本最大級のしめ縄が神楽殿に設置されているのか?
そもそも本殿にしめ縄があるのに、何故こちらにもそれが必要なのか? 不思議に思うのは私も一緒だった。
そこで調べてみたら、とんでもない事実が見えて来たのだ。
しめ縄のヒントは神話にあった
なぜこれほど巨大なしめ縄が、神楽殿に造られたのか? 何よりも2つ目のしめ縄が必要になった理由だ。
それについて調べてみると、ヒントが日本神話にある事が解った。
実はこのしめ縄、聖域を守っているのではなく……
この神楽殿に悪霊を封じる為にある
のだそうだ。
昔話になるのだが、もともと出雲大社は大国主命(オオクニヌシノミコト)と呼ばれる神様が済んでいたのだが、ある日天照大神(アマテラスオオミカミ)に国を取られてしまい、怒った大国主命は強力な怨霊になってしまった。
そこで、これを外に出さないよう結界の役割を、このしめ縄が担っているというわけだ。
その証拠に、しめ縄には絞める為の向きがある。正面から見て左から捻るのが正しいのだが、この巨大しめ縄はよく見ると、右側から捻られている。
つまり、外からの悪い物ではなく、中に悪い物がいるというわけだ。
そしてこれだけ巨大なしめ縄になった理由も、怨霊となった大国主命がそれだけ大きな存在であり、強い力ではないと抑えられないという理由があったのだ。
観光に行った時には、ただただ大きなしめ縄の迫力に圧倒された私だが、「そんな理由があるのだな……。」と、こうしてしみじみ感じさせられたわけである。
出雲大社の大しめ縄の場所はどこにある?良くある間違いを徹底解説! まとめ
いかがだっただろうか? 出雲大社にあるしめ縄。中には巨大しめ縄を見ずに、本殿のしめ縄だけを見て探す事が出来なかった人たちもいるらしい。
巨大しめ縄を見たいのであれば、本殿だけじゃなく神楽殿の方へ足を運ぶようにしよう。詳しい場所は現地に案内板もあるし、社務所の巫女さん達に聞けば教えてくれる事だろう。
また、巨大なしめ縄に賽銭を投げるつけるブームもあったが、危ないし、縁起もよろしくないので絶対にやめるようにしよう。
もしかしたら、賽銭でしめ縄が歪み、閉じ込められていた大国主命(オオクニヌシノミコト)の災いがアナタに降りかかるかも知れないのだから……。